Western Digitalの成長は常にイノベーションによって推進され、育まれてきました。イノベーションは現在でも重要であり、その重要性はいつの時代も変わりません。高度なデータセンターからモバイルデバイスまで、人工知能からIoTまで、画期的なデータ分析から未来の輝かしいテクノロジーまで、データは人々の生活を変化させ、繁栄を支えています。
下にあるタイルをクリックして、CTOオフィスで進行中のいくつかの研究テーマをご覧ください。これらの研究はデータのストレージをサポートし、データからインサイトを取得して価値を生み出します。
メモリー集約型コンピューティング
機械学習や人工知能などのビッグデータアプリケーションは、アルゴリズムやニュートラルネットワークを学習するために大規模なデータセットにアクセスする必要があります。このことから、アプリケーションが必要とするすべてのデータをプロセッサに移動する必要があります。ネットワーク上で大量のデータを移動すると、時間と費用がかかる上にネットワーク帯域幅が狭まります。これは持続可能ではない上に、最適な方法でもありません。
根本的な原因は、30年以上も続く現在のノイマン型コンピュータのアーキテクチャにあります。このモデルでは、プロセッサを中心にその他のコンピュータシステムが配置されています(「一般的なコンピュータアーキテクチャ」と呼ばれます)。提案できる1つのソリューションは、メモリーをコンピュータアーキテクチャの中心とすること(メモリー集約型コンピュータアーキテクチャ)です。ただし、現在すべてのオペレーティングシステムおよびアプリケーションがノイマン型コンピュータを軸に開発されていることから、導入は複雑です。2つのプロセッサの一方が、他方のプロセッサで必要とするメモリー位置にアクセスまたは書き換えを行うのを防止するため、大量のメモリープールを使用する複数のプロセッサにキャッシュコヒーレンシを導入する必要があります。高度な並列処理への移行に伴い、複数コアのメモリーキャッシュへのアクセスとコヒーレンシが導入されましたが、これらは比較的小さいメモリー容量を使用します。何TBものデータに共有メモリーを拡張することは、アーキテクチャの移行をより複雑にします。Western Digitalの調査は、メモリー集約型アーキテクチャへの移行に何が必要かを理解することに向けられています。
不揮発性
メモリー
CPUがアクセスするメモリーとして、現在SRAMとDRAMという2つの異なるメモリー技術が使用されています。どちらも揮発性メモリーであることから、停電時や電源が切れた場合は保存したデータが失われます。不揮発性の新しいクラスのメモリー(永続性またはストレージクラスメモリー、SCM)が開発されました。このメモリーは電源を失ってもデータが消えることがありません。
CPUの近くに配置されたメモリーはCPUのキャッシュメモリーとして使用されることから、高速アクセス時間またはCPUのクロック速度に近いレイテンシを要します。SDDとHDDデータストレージデバイスのレイテンシはどちらも使用するには遅すぎます。このトピックを議論するときは、メモリーをストレージから切り離すことが重要です。ここでのメモリーは、CPUがアクセスするレジスターおよびキャッシュに利用できるビットアドレス指定可能なメモリーを指し、ストレージはデータを整理して保管するシステムを使用する、ビットアドレスを指定できないデバイスを指します。
低レイテンシを実現する不揮発性メモリーの一部の設計はDRAMと競合します。これらはMRAM(磁気抵抗ランダムアクセスメモリー)またはSTT-MRAM(スピン注入型磁気抵抗ランダムアクセスメモリー)と呼ばれるものです。レイテンシにおいてDRAMとSDDの間にあるその他のテクノロジーはPCM(相変化メモリー)またはReRAM(抵抗変化型ランダムアクセスメモリー)です。Western Digitalは数年間にわたり、基礎材料研究(セル物理学およびデザインを含む)からメモリーセル配列の作成およびテストに至るまで、不揮発性メモリーを研究してきました。これらすべての努力が結集して製品が新興市場に投入されます。これらの3つの分野は、このテクノロジーの「ハードウェア」面です。その他の研究では不揮発性メモリーへの移行における「ソフトウェア」の意味合いに焦点を当てています。
永続性メモリー
プログラミングモデル
ソフトウェアプログラマーは、何年も揮発性のDRAMやSRAMを使用してソフトウェアを書き続け、結果としてこの事実に対応するためにコードに多くの規定が設けられています。DRAMが永続的な不揮発性メモリーに置き換わるとどうなるでしょうか? また、DRAMに近いレイテンシのメモリーがコンピュータまたはサーバーに追加された場合、この新しいSCM(ストレージクラスメモリー)はどのように使用されるでしょうか? カーネルやオペレーティングシステムにはどのような変更が必要となるでしょうか? これは業界のSaaS(ストレージのサービス提供)セグメントにどのような影響を与えるでしょうか? これは災害復旧セグメントにどのような影響を与えるでしょうか? 現実的には、ソフトウェア階層のすべてのセグメントにおいて、この変化が製品とサービスに与える影響を確認する必要があります。変化は一夜にして起こりません。不揮発性メモリーへのトランスフォーメーションには一定の時間がかかり、道筋も明確ではないことから、後方互換性を考慮する必要があります。あるいは不揮発性メモリーのメリットをいち早く享受するために、コンピュータシステムの新しいメモリー構成に基づいた製品を提供する企業が現れる可能性があります。変化への適応が最初に影響するのはクラウドプロバイダーでしょうか?それともエンタープライズデータセンターがリードするのでしょうか?
このトランスフォーメーションには未知数のものが関与しているのに、どうして行動を起こすことができるでしょうか? 一歩引いて考えると、永続性メモリーはこの業界に導入される最も破壊的なテクノロジーの1つとなり得る可能性があり、デバイスの日常的な使用に影響を与える可能性があります。業界全体を変えるには時間がかかります。標準化を進めるグループ、オープンソースコミュニティ、クローズコードを使用する企業との連携が必要です。
機械学習/人工知能
Western Digitalのメモリー集約型活動では、メモリー集約型アーキテクチャの恩恵を受けるユースケースを理解する必要があり、当社は機械学習(ML)をユースケースとして選択しました。機械学習と人工知能は急速に日常生活の一部となりつつあり、今後も成長を続け、生活のあらゆる側面で重要な役割を担うことが予想されます。Western Digitalにも製品のML&AIの使用を研究する技術プロジェクトがありますが、将来的なML&AIニーズに向け、CTOオフィスが取り組みを進めています。CTOオフィスが推進する研究の2つの主要な分野は、共に進化を続けるアクセラレータとアルゴリズムです。
専用のアクセラレータは、ML&AIアプリケーションに特に有用です。アクセラレータは、マイクロアーキテクチャとインストラクションセットがMLアプリケーションに必要なものに限定されている特定のアプリケーション用に設計されています。これは、このアクセラレータは特定の機能に特化しており、大容量のデータセットを処理する時間を短縮するためです。アクセラレータは、専用チップが従来の一般的なコンピューティングCPUを拡充して、MLアプリケーションの時間とエネルギーの要件を削減することを示す一例です。調査によれば、標準のCPU設計と比較して、特定のワークロードに最適化した設計はエネルギーと処理速度で10倍またはそれ以上の改善の余地があることがわかりました。現在ML&AIを使用したアプリケーションは急増しており、これらのデータ集約型アプリケーション専用のアクセラレータのビジネスチャンスを創出しています。
Zoned Storage
Western DigitalのZoned Storageイニシアチブとは何ですか?
企業、機械、消費者が生成するコンテンツによって生み出されるデータ量により、データセンターには数ペタバイトから数エクサバイトのレベルでのストレージ容量が引き続き強く求められています。現在までのところ、最新のSSDおよびHDDテクノロジーが、これらの大容量データストレージの需要に対応しています。
Zoned Storageは、データセンターをゼタバイトのストレージ容量の時代に合わせて効率的に拡張できるようにするための、オープンソースの標準ベースのイニシアチブです。ハードディスクドライブ(HDD)のストレージ密度を高めるためのシングル磁気記録(SMR)を使用して情報を保存および取得する機能と、ソリッドステートドライブ(SSD)内のZoned Name Spaceと呼ばれる関連テクノロジーを使用します。Zoned Name Spaceは、NVMe標準を拡張したものです。このテクノロジーを使用すると、HDDと同じようにゾーン分割されたSSDを提供できるため、HDDまたはSSDを問わず、すべてのストレージを1つのテクノロジーとして認識させることができます。Zoned Storageイニシアチブでは、SMRとZNSの両方のテクノロジー、オープンソース標準、専用のコンピューティングを分離された環境内で利用できます。
RISC-V
データストレージ企業としての歴史を誇るWestern Digitalがなぜこの取り組みに乗り出し、
RISC-Vに投資するのでしょうか。
理由はいくつかあります。まず、Linuxの成功で実証されているとおり、オープンソースモデルは現在、RISC-V Foundationにハードウェアプラットフォームを構え、次世代のイノベーションを発表していることが挙げられます。RISC-Vの設定可能能力が桁はずれに優れていることも一因です。 Western Digitalは、RISC-Vのオープンなコラボレーションとフレキシビリティを活用して、データ集約型アプリケーションに特化したプロセッサを製造することができます。 Western Digital製品のほぼすべてに、ある種の処理用コアが搭載されており、製品に使用されているコア数は年間10億個に達し、Western Digitalでは現在、プロセッサコアをRISC-Vに移行する取り組みを進めており、RISC-Vコアを当社製品に組み込む一方で、データが次世代イノベーションを促進する主要アセットとなる対応するエコシステムの構築にも取り組んでいます。
Flash Memory Summit 2018で、Western Digitalは新しいOpenFlex™アーキテクチャおよび製品群を発表しました。同時に、ハイスケールなプライベートおよびクラウドデータセンターの複雑で動的なデータワークロードニーズに対応する包括的なオープンスタンダードも発表しました。
ヒトゲノムのマッピングから銀河の果てへの旅まで、人類のイノベーションのニーズはとどまるところを知りません。発見とデータが今日の世界を形作った様子をご覧ください。